デッキ解説 - 無謀峡谷ドラゴン
RAGE 2018 Spring 東日本予選で使用した構築です。
今回のRAGEで使用した構築です。Day1:4-1 Day2:3-2とやや伸び悩みましたが、79枚同じ構築のゼロさんがファイナリストになってくれました。調整は前回同様えくちゃ(@ekucha_)くん中心に手伝って貰いました。 pic.twitter.com/uYbplQL5iw
— やす (@dn_nasidearu) 2018年2月4日
僕個人のスコアは Day1:4-1 Day2:3-2 の通算7-3
79枚同じ構築を使用したぼるこん(@boru888)は通算8-3
今回使った構築です
— ゼロ@GameWith (@SK90072858) 2018年2月4日
ドラゴンは低コストを散らして入れつつ、峡谷無謀を片方に寄せず採用しました。
灼熱は流行りのドロシー対策として1枚採用し、割と活躍してくれました。
ウィッチは天才デッキビルダーの「やす」さんのものです。やはり彼は天才でした。
通算成績は
ドラゴン14-5
ウィッチ15-2 pic.twitter.com/8lWtnmzAbg
ゼロ(@SK90072858)は通算13-1で見事Finalへの出場を決めてくれました。
今回このリストを使用するに至った経緯をお話していきたいと思います。
長くなると思いますが、最後までお付き合い頂ければ嬉しいです。
もくじ
無謀峡谷ドラゴン
- 使用リスト
- 概要
- 基本戦略
- 特徴的なカードと採用理由
- 採用しなかったカード
- 総括と今後
1.使用リスト
いわゆる無謀峡谷ドラゴンに分類される形です。
Day1を4勝1敗、Day2を7勝1敗で抜けることが求められるため、序盤から終盤の札まで満遍なく確保することを重視しています。
2.概要
今回デッキを組むに当たって重要視したのは主に、
・安定感(極限まで事故を減らす)
・幅広いデッキに対応する(メタの直撃を避ける)
の2点でした。
ご覧になっている方の中には、
ランプドラゴンで安定感を求めること
に疑問を持つ方も少なくないと思います。
確かにランプドラゴンはデッキパワーの高さを引き換えに、手札事故や序盤の打たれ弱さから逃れることが難しいデッキです。
しかし今回の東日本予選では、<次元の魔女・ドロシー>を中心とした圧倒的な展開力を持つ、ドロシーウィッチの使用率が非常に高いことが予想されていました。
ドロシーウィッチに唯一明確な有利を付けられるデッキがランプドラゴンだと考えていた自分は、ランプドラゴンの選択を避けることはできませんでした。
3.基本戦略
○安定感の実現について
現在ランプドラゴンは低コスト帯を、
- ブレイジングブレス×3枚
- 竜剣の少女・アイラ×3枚
- 竜の託宣×3
- サラマンダーブレス×3枚
- 純心の歌い手×2枚
- 大鎌の竜騎×3枚
- スターフェニックス
の18枚で固めていることが多いです。
しかし今回高い安定感を実現させるにあたって、3コスト以下のカードを
この18枚で固めてしまうと、自分の求めている安定感を得ることはできないと判断しました。
このあたりは個人の感覚ですし、正直なところ正解はないと思います。
今回79枚リストを共有したゼロは、自分のリストから<ドラゴサモナー>を1枚削って<灼熱の嵐>に回したレシピでファイナリストになっていますし、結果だけ見ればそちらが正解だったようにも思います。
<ドラゴサモナー>の採用理由については次の項で詳しく解説していきますので、宜しければそちらをご確認下さい。
○メタを掻い潜るために
低コストの枚数が確定したので、5コスト以上のカードの吟味に入りました。
については調整の余地がないと感じました。
<マナリアの防塵>により<サハクィエル>+<イスラーフィール>のケアが容易になっているため<サハクィエル>の不採用も頭を過ぎりましたが、<無謀なる戦>を強く使えることや、ランプドラゴンのミラーマッチで重要になるカードだと感じていたため、削ることはできませんでした。
ここから幅広いデッキに対して戦えるように肉付けしていくわけですが、ランプドラゴンの対策として挙げられる速攻戦略については序盤の札である程度の対策ができているため、意識するべきは<キングエレファント>などのワンショットキルや、アミュレット破壊になります。
白狼エルフやイージスビショップなど、終盤に明確なフィニッシャーが存在するデッキの一番の弱点として、フィニッシャーを繰り出す際に隙が生じることが挙げられます。
<竜の峡谷>を採用した形が主流になり、これらのデッキが数を減らしたことからも分かる通り、3ターンの間継続して5/5のステータスを展開し続ける<竜の峡谷>は、ミラーマッチだけでなくTier下位のデッキにも非常に有効な1枚です。
設置したターンにドラゴンを展開できることから、<堕天>や<デモンオフィサー・エメラダ>などのアミュレット対策カードの効果が大きな打撃になることは少ないですし、今回のコンセプトに合ったカードだと感じ、<竜の峡谷>の採用を決定しました。
4.特徴的なカードと採用理由
○ドラゴサモナー
今回のリストで1番目を引くカードかと思います。
自分がコンセプトとして掲げた序盤の安定感ですが、ただ闇雲に低コストのカードを積めば良いという訳ではありません。
極端な話をすれば一般的なランプドラゴンのリストに<ゴブリン>を1枚採用したとしても、序盤にプレイすることはできますが結局はトレードに参加しづらく、ただ<ルーンの貫き>などの的となってしまいます。
<ドラゴサモナー>を採用することによるメリットとして主に、
- 序盤の動きが増える(=<竜の託宣>がなかった場合、暇を潰しながら<水竜神の巫女>や<竜剣の少女・アイラ>へのアクセスが期待できる)
- マリガンでキープできるカードが増える
- 一般的に3枚採用されている<竜剣の少女・アイラ>と異なり、終盤でも活躍が見込める(対アグロデッキにおいて<水竜神の巫女>、対コントロールデッキにおいて<大鎌の竜騎>などのサーチが見込める)
の3点が挙げられます。
一見<純心の歌い手>も上記を満たしているようにも思えますが、<竜の託宣>がなかった場合3コストはかなり扱いづらく、低コストでこそありますが安定感の増加への貢献度は低いと感じています。
ただ<純心の歌い手>はドラゴンミラーなど、パワーカードの引き合いになるマッチを考えると1枚は欲しいカードです。
今回のRAGEで唯一落としたミラーマッチは、デッキの半分以上を掘っても<竜の闘気>、<純心の歌い手>を引けず、ハンドアドバンテージを取られてしまいずるずると、という内容でした。
またもう一つの理由として、<ドラゴサモナー>を3枚、<純心の歌い手>を1枚という編成にすることで、1/2フォロワーが4枚の体制を取れる点が大きいです。
先程極端な例として<ゴブリン>を挙げましたが、<純心の歌い手>が一般的なランプドラゴンで序盤のトレードに参加しづらいのは、ランプドラゴンに攻撃力1のフォロワーが少ないからです。
当たり前のことですが、攻撃力1のフォロワーでも2体当てれば2/2フォロワーを討ち取ることができます。
<ドラゴサモナー>から<ドラゴサモナー>のサーチも期待できるため、1/2フォロワーを4枚採用することで、序盤の相手フォロワーを盤面のみで捌くことも狙えます。
つまり<ブレイジングブレス>や<サラマンダーブレス>での処理を強要されることが少なく、一度盤面を放棄してしまうPPブーストカードの発動が行いやすくなるため、<ドラゴサモナー>の採用により様々な面で安定感の向上を実現させることに成功しています。
○無謀なる戦
まさに必殺技となるカードであり、序盤から思い通りPPブーストに成功すれば<無謀なる戦>のみで勝ててしまうことも珍しくありません。
本筋とは一切関係ありませんが、<バハムート>はShadowverse史上初めて2回目の能力調整を受けることになると予想しています(アミュレットも破壊するように戻る)。
<無謀なる戦>の弱点として、
- <竜の峡谷>と違ってアミュレット破壊効果をもろに受ける
- 7PP で設置しても次のターンにはほとんど影響しない
- 一度設置してしまうと、強力なニュートラルフォロワーを盤面に残せない
ことが挙げられますが、これらを差し引いても十分に採用する価値のあるアミュレットです。
ファイナリスト6名のうちドラゴンの使用者は4名でしたが、Kさんを除いた3名は<無謀なる戦>を採用していました。
(峡谷のみ1名、無謀峡谷1名、無謀のみ2名)
特にドラゴンミラーで大きく響くカードで、アミュレット破壊を積んでいなければ設置する隙を与えてしまった瞬間、大きく負けに近付きます。
○魔海の女王
先程紹介した<無謀なる戦>とのシナジーが強力なカードです。
場に<無謀なる戦>がある状態であれば、
と驚異的なバーストダメージを叩き出すことが可能です。
これに<大鎌の竜騎>がくっつけば、どちらのパターンでも進化権が残っていさえすれば20点を一気に削り切ることができます。
続いて忘れてはならないのが、手札に<魔海の女王>と<無謀なる戦>に加え、<バハムート>や<イスラーフィール>があるケースです。
この場合、アミュレット対策カードに引っかかることなく、何もない状態から9点ないしは10点のバーストダメージを与えることができます。
これを対策するのは<不滅の聖剣・デュランダル>など特殊なものを除くと守護くらいしかありませんから、<堕天>などが見えた際には2枚目以降を我慢して抱え込んでおくことで、ここぞという場面でのフィニッシュに回すことができます。
また<無謀なる戦>が絡まないパターンでも活躍することが多いです。
<魔海の女王>+<イスラーフィール>+<竜の闘気>or<水竜神の巫女>と動くことでHPを確保する動きや、大型の横展開に対応しづらいエルフやヴァンパイアに対して一気に強力な盤面を形成する動きが非常に強力になります。
以上の2点から、被らせてしまった際に1枚腐るデメリットよりも、引けずに負けてしまう可能性を重く見るべきだと判断し、2枚採用を確定させました。
5.採用しなかったカード
○灼熱の嵐
ドロシーウィッチを中心に、アグロロイヤルの<マスタークノイチ>やアグロエルフの<イピリア>へのカウンターとなるカードです。
今回自分が採用を見送ったのは、
- ドロシーウィッチに対しては既に6:4~7:3の有利が付いている
- 仮想的であるアグロロイヤルや復讐ヴァンパイアの数が少ないと予想した
からでしたが、後者に関しては検討違いだったので、今思えば必要なカードだったのかも知れません。
削るとすれば<ドラゴサモナー>や<竜の峡谷>の枠になりますが、どちらも今回の構築のコンセプトからやや外れてしまうため、Day1まで考えると得策ではないと考えています。
消滅や変身効果を受けない限り、恒久的に3点を飛ばしながら大型を展開することができます。
SFL期以前のランプドラゴンミラーではキーカードとなる1枚でしたが、CGN期は<ウロボロス>よりもアミュレットの押し付け合いになることが多く、自分の中での優先順位が低かったため採用を見送りました。
また序盤の<ドラゴサモナー>で引っ張ってきた場合のストレスも大きく、構築単位であまり相性が良くないのも大きな理由の一つです。
○ゼウス
こちらも<バハムート>がナーフされる前までは、特にドラゴンミラーにおいて強力な1枚でした。
ランプドラゴンは通常、疾走フォロワーを<大鎌の竜騎>しか採用しませんし、空の盤面から5点or7点を叩き込むことができるこのカードは痒いところに手が届きます。
しかし<無謀なる戦>が<バハムート>の効果によって割られなくなったため、守護を突破しながら大きな打点を通す、という行動を簡単に取られるようになってしまいました。
またドロシーウィッチの<ウィンドブラスト>採用が流行し、守護フォロワーとしての役割もいまひとつ果たせないシーンも数多く見られました。
となると必然的に、攻守両用のカードであった<ゼウス>の守りの性能が落ちてしまいます。もちろん枠があれば採用したいカードではありますが、現環境での優先度は、先に紹介した<ウロボロス>よりも低いと考えています。
6.総括と今後
総括
はじめに断っておくべきだったかも知れませんが、僕はこの構築が結果を残したからと言って、これこそが正解なんだ、と主張するつもりはありません。
ランプドラゴンというデッキに向き合う上で、こういう考え方もあるんだな、くらいに受け止めて頂ければ嬉しいです。
それでもランプドラゴンというアーキタイプからは一見少し離れたところにある、安定感とメタを掻い潜ることの両立は、100点満点中80点くらいは達成できたように感じています。
ある程度プレイに自信が付けば普通のゲームができるだけで十分で、事故を起こしづらい構築を作ることの価値がより一層高まります。
特にDay1は様々なデッキタイプや、想定していないカードとの対峙が考えられます。
いわゆる”魔境”のような環境を戦い抜かなければいけない場合のアプローチとして、今回の記事を参考にして頂ければ幸いです。
今後
今回使用した構築で今週末に控えた西日本予選を戦うのであれば、考え直さなければいけない点がいくつかあります。
1つは、東日本予選の結果を受け、<無謀なる戦>を対策したデッキリスト・デッキタイプが増えることが予想される点です。
<堕天>や<豪快な斧使い>の採用はもちろん、構築段階でスマートに<デモンオフィサー・エメラダ>を入れられる、復讐ヴァンパイアはある程度数を増やすでしょう。
またメタを張られるのは、<無謀なる戦>だけでないことを忘れてはなりません。
アグロエルフやアグロロイヤルなど速攻戦略を取るデッキが、序盤戦をやや苦手とするランプドラゴンをアーキタイプごと狩りに来る可能性も十分に考えられます。
つまり西日本予選でランプドラゴンを使うのであれば、
- <無謀なる戦>に寄せた構築を行わない
- <灼熱の嵐>を採用する
以上の2点はマストであると考えています。
もちろん<無謀なる戦>は、ハマれば抵抗のしようがないですし、1枚は差し得のカードだと自分も考えています。
<魔海の女王>の採用の有無は判断しづらいですが、自分が持ち込むのであれば<無謀なる戦>はピンに留め、<竜の峡谷>を複数枚採用した形になるかと思います。
続いて<灼熱の嵐>の採用についてです。
使用者の増加が予想される、復讐ヴァンパイアの<カオスシップ>やアグロロイヤルの<マスタークノイチ>は、<灼熱の嵐>が手札にない状況で出されてしまうと大きく負けが近付いてしまうカードです。
低コストのカードを削って<灼熱の嵐>の枚数を増やすのは一見矛盾しているようにも思えますが、西日本予選ではゼロが取った<ドラゴサモナー>を<灼熱の嵐>に差し替えた構築を推したいです。
以上です。
Shadowverseでは初めてブログを書いたため、読みづらい部分や、本当に知りたい部分が書かれていない、といったこともあったかと思いますが、ご容赦下さい。
ランプドラゴンは戦いが長引きやすい特性もあって、たった数枚のカード選択が勝敗に直結するデッキだと考えています。
突き詰めれば突き詰めるほど奥が深く、西日本予選でどのようなリストが見られるか楽しみで仕方がありません。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。